はじめに

契約終了の通知を受けてから、次の案件が決まるまでに何カ月かかったでしょうか。あるいは、今この瞬間に契約が終わったら、3週間以内に次の案件をスタートできる準備があるでしょうか。

フリーランスPMにとって、案件が途切れる不安は、契約金額や働き方の悩み以上に重い問題です。月額100万円のPMが3カ月の空白を経験すれば、機会損失は300万円になります。年収換算で25%が消える計算です。

ただ、同じスキル・同じ経験のPMでも、案件が途切れる人と途切れない人がいます。この差を分けるのは、運や人脈の多さだけではなく、再現性のある営業戦略を持っているかどうかと言えそうです。

案件が切れないPMの動き方には、営業チャネル設計、単価維持、キャリアポートフォリオという3つの観点があります。

自分の動き方をどこから見直すか、ご自身の状況に当てはめながら読んでみてください。


案件が切れないPMの特徴

案件が切れない人と、契約終了のたびに不安に追われる人。スキルも経験も似ているのに、なぜ差が生まれるのでしょうか。

長くフリーランスPMの動き方を見てきた感覚では、案件が切れない人には共通する3つの特徴があります。

まず、案件中も次の動きを意識していること。目の前のプロジェクトに集中しながらも、契約終了の3カ月前から次の案件の準備に動き始めるリズムを持っています。

次に、営業チャネルを複数持っていること。エージェント、直案件、紹介の3つの経路を並走させているため、ひとつのチャネルが止まっても他で補える構造になっています。

そして、自分の市場価値を言葉にできること。WBSや成果指標、業界知識を客観データとしてまとめており、新規クライアントに対しても説得力ある提案ができる準備が整っています。

これらは生まれつきの才能ではなく、意識して仕組みを作れば誰でも再現できる戦略です。次のセクションから、それぞれの要素を具体的に見ていきましょう。

これらは生まれつきの才能ではなく、意識して仕組みを作れば誰でも再現できる戦略です。次のセクションから、それぞれの要素を具体的に見ていきましょう。


なぜ案件が途切れるのか

そもそも、なぜフリーランスのPMは案件が途切れやすいのでしょうか。

理由は3つの構造的要因に分けられます。

まず、PM案件が3〜6カ月単位のプロジェクトベースだという業界構造です。クライアント企業の予算サイクルやプロジェクトのフェーズ変更によって、案件は定期的にリセットされていきます。長期で1社にコミットし続けられる事業会社員と違い、フリーランスは契約終了が定期的に訪れる仕事と言えます。

次に、PMの本業がプロジェクト推進であるため、営業活動に十分な時間を割けない問題です。現場で月の稼働の8〜9割を使い切ってしまうと、残り1〜2割で次の案件を探すのは現実的に難しくなります。結果として、契約終了直前になってから慌てて動き始める、というパターンに陥りやすいわけです。

さらに、自力営業で取れる案件と、エージェント経由でアクセスできる案件の質が違うという市場構造です。PM・PMO領域の高単価案件は非公開で扱われることが多く、自力での発見が難しくなっています。

これら3つが組み合わさったときに、案件が途切れる悪循環が完成します。本業に追われる、営業の準備が遅れる、非公開案件にアクセスできない、結果として空白期間が生まれる、という流れです。

案件が切れないPMは、この悪循環を断ち切る仕組みを早めに整えています。その第一歩となるのが、営業チャネルの設計です。


営業チャネル設計

案件が切れない人と切れる人を分ける最初の要素が、営業チャネル設計です。

具体的には、エージェント、直案件、紹介の3つを並走させる構造を持っているかどうか。それぞれの特性と使い分けを整理してみましょう。

エージェント

もっとも代表的なチャネルが、フリーランスエージェントの活用です。

エージェントの強みは、企業との関係性とスピード、そして単価交渉の代行にあります。案件のリクエストを伝えれば、数日から数週間で候補案件が出てきます。書類選考や面談アレンジも代行してくれるため、稼働中のPMにとって時間効率が高いチャネルになります。

特にPMやコンサル特化型のエージェントは、高単価帯の案件を継続的に扱っているため、上位レンジを狙うPMにとって主力の経路です。総合型エージェントと比べて、商流の浅い案件にアクセスしやすい構造になっていきます。

直案件

過去のクライアント企業との直接契約も有力なチャネルです。

仲介を挟まないため、中間マージンの分だけ単価が上がります。エージェント経由と比べると、手取りベースで高くなる傾向があると言えそうです。

ただし、案件の出現タイミングはコントロールしにくく、企業側の予算編成や担当者の異動によって機会が消えることもあります。直案件だけに頼ると、案件と案件の間に空白期間が生まれやすいため、メインチャネルとしては不安定な側面があります。

直案件は「来たら受ける」スタンスで、補完的に扱うのが現実的でしょう。

紹介

過去のクライアントや同業のPMからの紹介も、強力な経路です。

紹介経由は信頼ベースで案件が来るため、書類選考や面談がショートカットされ、決まるスピードが早くなります。単価も希望に近い金額で決まりやすい傾向があります。

ただし、紹介は来るタイミングと数のコントロールが難しいのが弱点です。来るときは来るが、来ないときは半年以上空くという偏りもあります。

3つのチャネルを並走させる場合、エージェントをメインの安定供給源として位置づけ、直案件と紹介を補完的に活用するのが、案件を切らさない最適解と言えそうです。


単価を下げずに継続する方法

案件を継続するために単価を下げる、という選択は短期的には有効に見えますが、長期的には市場価値を下げてしまうことが多くなります。

単価を下げずに継続する方法を、3つの軸で整理してみましょう。

まず、契約終了の3カ月前から動き出すことです。

時間的な余裕があれば、複数の候補案件を並行検討できます。並行で進めば、条件交渉のレバーが生まれます。他社オファーがあるという事実は、新クライアントとの単価交渉に有利に働きます。逆に時間に余裕がないと、提示された単価でそのまま受けるしか選択肢がなくなっていきます。

次に、自分の市場価値を客観的に示せる準備を持っておくことです。

過去のプロジェクトで達成したマイルストーン、改善した数値、貢献した領域を、具体的な言葉でまとめておくと、面談での説得力が変わっていきます。KPIをXからYに改善した、3カ月のスケジュール短縮を実現した、というような具体例があると、エージェントも自信を持って単価交渉に入れます。

最後に、業界知識を深めて専門領域を明確にすることです。

汎用的なPMスキルだけでは、単価が頭打ちになりがちです。金融、製造、医薬、SaaSといった業界特化、または品質管理、リスク管理、変革管理といった機能特化を進めると、業界知識プレミアムが乗った案件にアクセスしやすくなります。業界別の相場では、金融や製造のPM案件は月額140〜220万円のレンジで動いていきます。

単価を下げずに継続するには、目の前の案件で交渉するだけでなく、自分の市場価値そのものを段階的に高めていく長期視点が必要です。


キャリアポートフォリオ戦略

最後に、案件が切れないPMが長期で持っているキャリアポートフォリオ戦略を見てみましょう。

キャリアポートフォリオとは、自分のキャリアを単一の案件・単一のスキルに依存させず、複数の柱で支える考え方です。

まず、業界の柱を2つ以上持つことです。例えば金融と製造業の両方で経験を積んでおけば、片方の業界が不景気で案件が減っても、もう片方で補える構造になります。1業界に依存すると、その業界全体の予算縮小に直撃されてしまいます。

次に、機能領域の柱を持つことです。PMO業務のなかでも、WBS設計に強い、リスク管理に強い、ベンダー管理に強い、変革管理に強いなど、自分の得意分野を意識的に育てていきます。複数の機能領域を持てば、案件選択の幅が広がります。

3つめは、エージェント・直案件・紹介の3経路をすべて維持しておくことです。前述の営業チャネル設計と重なりますが、長期で見れば各経路に最低1〜2件の関係を維持することが、安定供給の前提になります。

そしてもうひとつ、自分の知見を外部に発信する仕組みを持つことも重要です。LinkedIn、note、X、業界カンファレンスでの登壇、執筆活動など、形は多様です。発信を続けることで、エージェントでも紹介でもない第4のチャネル、つまり直接の問い合わせが育っていきます。

キャリアポートフォリオは、3カ月では作れません。5〜10年の視点で、業界知識・機能領域・チャネル・発信の4つの柱を意識的に育てていくものになります。

ただ、いま育て始めれば、3年後には案件が途切れない構造ができあがっているはずです。フリーランスPMの真の安定は、雇われる安定ではなく、自分のキャリアを設計できる安定なのかもしれません。


まとめ

案件が途切れる不安は、フリーランスPMにとって普遍的なテーマです。

ただ、その不安を抱えながら走り続けるか、仕組みで解消するかは、自分で選べます。営業チャネルを複数持つ、単価を下げない交渉力を磨く、キャリアポートフォリオを育てる。これらは、特別な才能ではなく、意識すれば誰でも取り組める戦略です。

offeeerでは、月額100〜150万円帯を中心に、PMO・コンサル人材向けの案件を継続的にご紹介しています。フリーランス経験者のコーディネーターが、契約終了の3カ月前から次の案件選びをサポートし、単価交渉や契約終了時のフォローまで伴走する形で対応しています。

次の契約終了通知を受け取る前に、自分の営業戦略を見直してみませんか。案件紹介を受け取りたい、自分の市場価値を確認したい、という方は、登録から始めてみてください。


出典・参考文献

フリーランスPMの案件獲得術と営業のコツ | サーキュPM/PMO
https://circu.co.jp/pm-pmo/media/career/1269

フリーランスのPMの作業範囲や必要なスキル、案件獲得方法 | miraie-group
https://miraie-group.jp/sees/article/detail/PM_freelance_skill

フリーランスが仕事の案件を継続させる方法 | デジハクmagazine
https://digital-hacks.jp/blog/archives/12790

業種別コンサル単価 DX・AI領域 | 待極
https://machikiwa.jp/freelance-consultant-industry/