土日にできる案件を探しているコンサルタントは少なくありません。会社員として本業を続けながら、空いている土曜と日曜で社外の仕事を受けられないか。検索窓に「コンサルタント 土日 案件」と打ち込んだ経験がある人も多いはずです。ただ、offeeerに掲載された案件を1件ずつ数えてみると、土日を稼働日として募集した案件はゼロでした。探し方が悪いのではなく、市場の側にその枠がほとんど存在しません。会社員のまま参画できる枠は、曜日ではなく稼働率の絞り方の中にあります。
コンサルタントの土日案件は存在するのか
存在しません。offeeer掲載案件1,741件(2026年9月時点)を全文検索した結果、土日や週末を稼働日として募集した案件は0件でした。「土日」という語自体が出てくる案件は3件ありますが、いずれも稼働率100%の運用・障害当番案件で、夜間や土日の待機を含む体制の一部として「土日」が触れられているだけです。稼働率100%、つまりフルコミットが前提の案件であり、土日だけ働く枠ではありません。「週末」という語に限れば、該当する案件は1件もありませんでした。
この3件の中身は、いずれも運用保守や問い合わせ対応の領域で、平日の稼働に加えて障害時や当番制の夜間・土日待機が発生する性質の仕事です。土日に主体的に働く案件ではなく、平日フルタイムで働く人が持ち回りで当番に入る話であり、会社員が空いた土日だけを差し出して参加できる設計にはなっていません。
コンサルタントとして案件を探すとき、多くの人が無意識に前提としているのは「平日はフルタイムで働けないから、空いている土日で」という発想です。ただ、発注側の案件設計を見る限り、この前提そのものが市場の実態とかみ合っていません。発注側は成果に対して稼働時間を組み立てるため、平日の意思決定や関係者との調整が発生する仕事に、土日だけの担当者を充てる理由がないのです。土日という時間軸で案件を探す限り、候補は事実上ゼロのままです。
会社員のまま参画できる業務委託案件は何件あるのか
134件、全体の7.7%です。offeeer掲載1,741件のうち、稼働率の上限が50%以下(月10日相当以下)で登録されている案件が134件あります。稼働率を40%以下(週2日相当以下)まで絞ると44件、2.5%まで減ります。土日ではなく平日の稼働日数を絞るという条件であれば、この134件が実際の入口になります。
| 稼働率帯(稼働率_MAX) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 0〜20%(月4日相当以下) | 28件 | 1.6% |
| 21〜40%(週1〜2日相当) | 16件 | 0.9% |
| 41〜50%(週2〜2.5日相当) | 90件 | 5.2% |
| 51〜99% | 59件 | 3.4% |
| 100%(フルコミット) | 1,509件 | 86.7% |
| 稼働率不明 | 39件 | 2.2% |
市場の86.7%はフルコミット前提で組まれており、稼働率を抑えた案件はもとから少数派の設計です。ただし少数派ではあっても、案件が作成された時期ごとの比率を見ると動きが見えてきます。案件の作成日時をもとに、稼働率50%以下の案件が全体に占める比率を年別に集計すると、次のようになりました。
| 年 | 稼働率既知件数 | 稼働率50%以下 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | 353件 | 18件 | 5.1% |
| 2025年 | 697件 | 75件 | 10.8% |
| 2026年(1〜9月) | 651件 | 41件 | 6.3% |
2024年から2025年にかけて比率はほぼ倍増しましたが、2026年は9月19日時点までの集計で通年分ではないため、この6.3%を「減少に転じた」と断定するのは早計です。むしろ2025年の水準が一時的な高さだったのか、2026年通年でどこに落ち着くのかは、四半期ごとに定点観測する必要があります。いずれにせよ、稼働率を抑えた案件が市場から消えているわけではなく、一定数が継続して作られ続けている点は変わりません。会社員のまま参画したい人にとって重要なのは、この134件が一度きりの固定枠ではなく、毎期一定数作られ続けている枠だという点です。
週1〜2日の案件は何の仕事で、単価はいくらか
コンサルティングやアドバイザリー、PMO・PMが中心です。稼働率50%以下の134件で職種タグを集計すると、コンサルが58件、アドバイザリーが20件、PMが16件、PMOが14件でした(複数のタグを持つ案件は重複して数えています)。この4つのいずれかを含む案件は79件で、134件の6割近くにあたります。エンジニアやマーケティング、営業といった実行部隊の役割は少数にとどまり、意思決定に近い立場や、特定領域の助言に特化した役割に稼働を絞った枠が集まっている構図です。
働き方も基本リモートが大半です。134件のうち基本リモートが77件、リモート併用が36件、フルリモートが14件で、合わせて127件、94.8%が何らかの形でリモートを含んでいます。常駐は4件のみでした。稼働日数を絞った案件は、そもそも毎回出社する前提では成立しにくいということでしょう。フルリモート案件全体の実態はフルリモート案件は7.9%|業務委託リモートの実態と単価で詳しく扱っています。
単価は稼働率が低い帯のほうがむしろ高く出ます。稼働率帯別に単価の中央値(月額・税抜・稼働率100%換算)を見ると、次のとおりです。
| 稼働率帯 | 件数 | 主な職種 | 単価中央値(100%換算) |
|---|---|---|---|
| 0〜20% | 28件 | アドバイザリー・コンサル・PMO | 200.0万円 |
| 21〜40% | 16件 | コンサル・戦略・アドバイザリー | 137.5万円 |
| 41〜50% | 90件 | コンサル・PM・PMO | 140.0万円 |
| 100% | 1,509件 | コンサル・PMO・エンジニア | 120.0万円 |
50%以下の134件全体では単価記載のある128件の中央値が140.0万円で、フルコミットの120.0万円を上回ります。これは掲載単価が稼働率100%換算で示されているためで、実際に振り込まれる金額は稼働率を掛けた分だけになります。たとえば稼働率30%の案件で単価140万円と提示されていれば、実際の月額は140万円かける0.3で42万円程度が目安です。稼働日数を絞った枠は、単価の水準そのものが下がるわけではなく、100%換算の表示と実収の差を理解したうえで契約に臨む必要がある、というのが実態に近い言い方になります。
単価が下がらない理由は、稼働を絞った枠が誰にでも開かれた入口ではないからです。0〜20%帯の中央値が200.0万円と突出しているのは、この帯に顧問・アドバイザリー型の案件が多く含まれ、稼働時間の長さではなく関与そのものの価値に対して報酬が決まっているためです。フルコミットのPMO案件で単価がどう決まっているかは、PMOフリーランスの単価相場を扱ったコラムでも整理しており、稼働率を絞った枠の単価がなぜフルコミット並みかそれ以上になるのか、比較の軸として読めます。稼働日数を条件に案件を探す前に、自分がどの水準の意思決定に関与できるかを説明できるかどうかが、実際には最初の関門になります。
会社員のまま参画するには平日の稼働日をどう確保するのか
案件は平日日中に動きます。土日ではなく、本業の勤務時間と重ならない平日の枠をどう作れるかが、会社員のまま参画できるかどうかを分けます。ここで整理しておく点は大きく二つです。
一つは、業務委託として受ける社外案件の稼働時間は、本業の労働時間と通算されないという法的な整理です。厚生労働省が社外での就労について示しているガイドライン(平成30年1月策定、令和2年9月改定、令和4年7月改定)は、フリーランスやアドバイザー、コンサルタントとして受ける業務委託について、労働基準法の労働時間規制が適用されないため通算の対象にならないと明記しています。根拠となる労働基準法第38条第1項は、事業場を異にする場合の労働時間の通算を定めた条文ですが、これは雇用契約が重なる場合を対象にした規定です。業務委託は発注者の指揮命令を受けずに成果や役務を提供する契約であるため、この規制自体がかかりません。ただし同じガイドラインは、契約の名目が請負や業務委託でも実態が雇用契約と認められる場合には就労の実態に応じて労働基準法が適用されるとしているため、契約の形だけでなく稼働の実態もそろえておく必要があります。この整理の詳細と、通算される規定・されない規定の一覧は会社員のまま業務委託|労働時間は通算されない3つの前提にまとめてあります。
もう一つは、勤務先の就業規則です。厚生労働省のガイドラインは、企業に対して就業規則や労働契約に届出制を定めるなど、社外での就労の有無と内容を確認する仕組みを設けることが望ましいとしています。同じガイドラインが触れているとおり、厚生労働省のモデル就業規則にも「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」という条文が置かれています。労働時間規制の通算がないことと、社内規定で届出や許可が要るかどうかは別の話であり、平日の稼働日を確保する前に両方を確認しておく必要があります。
実務上は、面談の段階で発注側に伝えられる稼働時間帯をあらかじめ具体化しておくことが役に立ちます。たとえば始業前後の1時間ずつと特定の曜日の午後だけを充てられるのか、あるいは半日単位でまとまった時間を確保できるのかによって、任せられる役割の範囲が変わります。時間の切り出し方を先に決めておくほうが、案件探しの段階でミスマッチを減らせます。
土日にやるべきことは何か
土日は稼働ではなく準備に使う時間です。案件そのものは平日日中に動くため、土日に案件の稼働を積み増す発想では、そもそも市場に受け皿がありません。その代わりに、平日の稼働枠を実際に取りにいくための準備を、土日に済ませておく必要があります。
具体的には、これまでの実績を棚卸しして提案資料の形に整えること、面談で聞かれる質問への回答を用意しておくこと、独立した場合を見据えた単価の設計を先に済ませておくこと、そして自分が受けられる稼働率の下限と上限をあらかじめ決めておくことです。稼働率の範囲を決めずに面談に臨むと、発注側の希望に押し切られて本業に支障が出る稼働率で合意してしまうこともあるでしょう。
「土日の空き時間だけで何とかなる」という発想を持ち込むと、この準備の重さと市場の実態のギャップに戸惑うことになります。実際に案件に入っているのは、限られた平日の稼働時間の中で、プロとしての成果に責任を持てる体制を先に整えた人です。土日は、その体制を整えるための時間であって、案件の稼働時間そのものではありません。
会社員のまま案件に参画する前に確認する3つのこと
会社員のまま業務委託の案件に参画する前に、契約を交わす前の段階で確認しておくべき点が3つあります。
一つ目は、就業規則の届出義務と、競業避止・秘密保持の範囲です。就業規則の条文が「他の会社に雇用されること」を対象にしているのか、「他の業務に従事すること」まで含む広い書き方をしているのかで、業務委託が届出の対象に入るかどうかが変わります。厚生労働省のガイドラインは、企業が社外での就労を制限してよいのは、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合の4つに限られるとしています。受ける案件が本業と同じ市場を扱っていないか、事前に照らし合わせておいたほうがよさそうです。
二つ目は、契約形態と稼働率・稼働時間帯の合意です。業務委託の案件は準委任契約で結ばれることが一般的で、雇用契約のように時間で拘束される契約ではありません。ただし稼働率の上限と下限、稼働できる曜日や時間帯の希望は、契約前に発注側とすり合わせておかないと、後から本業の勤務時間と衝突する形で稼働を求められることがあります。準委任と請負で報酬の残り方がどう変わるかは準委任契約と請負契約の違い|PMO案件が途中で止まったとき報酬はどこまで残るかで整理しているので、契約形態を確かめる前に読んでおくと判断しやすくなります。
三つ目は、所得の申告です。給与を1か所から受けていて、給与の年収が2,000万円以下の会社員は、給与以外の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告が不要になる特例があります。国税庁が案内するこの特例は所得(収入から必要経費を差し引いた利益)で判断するもので、売上ベースの金額ではありません。業務委託の受託額がそのまま20万円を超えても、経費を差し引いた所得が20万円以下であれば申告は不要ですが、20万円を超えれば確定申告が必要になります。なおこの特例は所得税のものです。住民税の申告は所得税の確定申告とは別に定められているため、お住まいの市区町村の案内にあわせて確認しておく必要があります。
あわせて、令和6年11月1日に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の対象範囲も押さえておきたい点です。公正取引委員会と中小企業庁のパンフレットは、会社に従業員として雇用されている個人が事業者として他の事業者から業務委託を受ける場合も、この法律の特定受託事業者に該当すると説明しています。会社員のまま受ける案件であっても、取引条件の明示や報酬の期日支払いといった発注事業者側の義務は、この法律の対象になるということです。
まとめ
コンサルタントの土日案件は、offeeer掲載1,741件の中に1件もありませんでした。一方で、稼働率を50%以下に抑えた業務委託案件は134件、全体の7.7%あり、コンサル・アドバイザリー・PMOを中心に、基本リモートで参画できる枠として存在しています。会社員のまま参画するための鍵は、土日をどう使うかではなく、平日の稼働日をどう確保し、就業規則と契約条件をどう整えるかにあります。
自分の稼働率の下限と上限は、すでに決まっていますか。
出典・参考文献
- 副業・兼業の促進に関するガイドライン | 厚生労働省
- モデル就業規則について | 厚生労働省
- 労働基準法 | e-Gov法令検索
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 | 国税庁
- フリーランス・事業者間取引適正化等法パンフレット | 公正取引委員会・中小企業庁
- フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組 | 公正取引委員会
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法) | 中小企業庁
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 | e-Gov法令検索



