契約更新の打診が来て、提示された単価が市場のどこにあるのか、すぐに答えられるでしょうか。相場の記事はどれも幅が広く、80万円から200万円と言われても、いまの自分が高いのか安いのかまでは読み取れません。
そこで、offeeerに掲載してきた案件のうち単価データがある1,573件を、2026年9月7日時点で集計しました。PMOフリーランスの単価相場を、中央値と価格帯の分布、2024年からの推移、200万円を超える案件の中身まで、推測ではなく件数で並べました。自分の単価がどこに落ちるか、表と照らしながら読んでみてください。
PMOフリーランスの単価相場はいくらか
PMOのタグが付いた案件335件の中央値は、月額125万円です。6割にあたる60.3%が100〜149万円帯に集まり、150万円以上が26.6%、100万円未満は13.1%にとどまります。PMO案件の下位25%の境目は110万円、上位25%の境目は150万円で、半分の案件がこの40万円の幅に収まっています。職種を問わない1,573件全体では中央値120万円、下位25%が100万円、上位25%が150万円でした。
| 月額単価 | PMO案件335件 | 全体1,573件 |
|---|---|---|
| 50〜79万円 | 2.4% | 6.5% |
| 80〜99万円 | 10.4% | 13.8% |
| 100〜149万円 | 60.3% | 49.8% |
| 150〜199万円 | 22.4% | 25.6% |
| 200万円以上 | 4.2% | 4.2% |
表にない50万円未満のPMO案件は1件だけです。ここでの単価は、フリーランス本人に支払われる月額の税抜金額を指します。稼働率の記載がある案件の88.6%が稼働率100%なので、ほぼフルタイム前提の月額と考えてください。
この記事の以前の版では、80〜200万円が一般的なレンジだと書いていました。実測すると分布の中心はもっと狭く、100〜149万円に6割が入ります。80万円台は入口ではなく少数派で、150万円台のほうがむしろ厚い。相場観を80〜200万円で持っていると、提示額の判断を誤ります。
PMOの単価は上がっているのか
職種を問わない1,573件の中央値は、2024年の110万円から2025年に130万円へ上がり、2026年は120万円です。ただし中央値より動いているのは下限で、下位25%の境目は90万円から110万円へ20万円上がりました。90万円未満の案件が占める割合は、2024年の22.4%から2025年に12.3%、2026年は9.3%まで下がっています。単価が上がったというより、安い案件が減ったと読むのが正確だと思います。
| 年 | 件数 | 中央値 | 下位25% | 上位25% | 90万円未満 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 344件 | 110万円 | 90万円 | 150万円 | 22.4% |
| 2025年 | 656件 | 130万円 | 105万円 | 160万円 | 12.3% |
| 2026年(9月7日まで) | 572件 | 120万円 | 110万円 | 150万円 | 9.3% |
四半期で追うと、2025年4月から2026年3月まで中央値130万円が4期続き、2026年4月以降は120万円に戻っています。上位25%の境目も160万円から145万円前後へ下がりました。上下の幅が縮み、100〜150万円の中心帯に案件が寄ってきたように見えます。
これを単価の下落と読むのは早いと考えています。2026年は登録件数そのものが増えていて、7月から9月7日までの2か月あまりで233件と、四半期のペースではこの1年で最多です。100〜149万円帯の割合も2024年の42.4%から2026年は56.5%に広がり、中心帯に案件が厚くなった影響を含みます。PMO案件だけで見ても、100万円未満の割合は2025年の16.1%から2026年は9.0%に下がりました。単価交渉の場で相場は80万円からと言われたら、その前提は2024年で止まっています。
単価帯ごとに求められる役割は何が違うのか
単価帯は、期待される役割の重さとほぼ対応しています。80〜99万円帯はPMの補佐として運営を回す仕事です。100〜149万円帯になると、プロジェクトの仕組みを設計して運用する側に回ります。150万円以上では、PMの判断そのものに関与します。
PMO案件は、サポート型・管理型・主導型の3類型で語られることが多いです。建物にたとえるなら1階、2階、3階で、階が上がるほど責任と報酬が増えます。実測の分布をこの3階建てに重ねると、2階にあたる100〜149万円帯に6割が住んでいて、1階は1割強、3階は3割弱という配分でした。
| 単価帯 | PMO案件のシェア | 主な役割 | 期待されるアウトプット |
|---|---|---|---|
| 80〜99万円 | 10.4% | PMの補佐。会議体の運営、議事録、進捗報告のとりまとめ | 運営が滞りなく回ること |
| 100〜149万円 | 60.3% | 管理の仕組みを設計して運用。WBS、品質管理、リスクと課題のエスカレーション、ベンダー管理 | プロジェクトが仕組みで動くこと |
| 150〜199万円 | 22.4% | 方向性への関与。経営層への提言、複数プロジェクトの統括、判断材料の作成 | PMが判断する前の選択肢が揃うこと |
| 200万円以上 | 4.2% | 戦略・アドバイザリー。事業側の課題を扱う | 経営課題が動くこと |
200万円以上の案件は全体で66件、4.2%でした。中身を見ると、タグはコンサルが34件、PMOが14件、ITコンサルが11件、戦略が9件、アドバイザリーが8件で、PMO単独というよりコンサル寄りの仕事が主です。1案件に複数のタグが付くため重複があります。
働き方は基本リモートが28件で最多、常駐は15件。稼働率は100%が42件ですが、稼働率10%の案件も13件あり、週に半日程度で関わる顧問に近い形の案件が一定数含まれます。面談は2回が40件で、1回で決まる案件は5件しかありません。
200万円超は、PMOの延長線上で自然に届く階ではなく、事業側の課題に踏み込む仕事として別に用意されている枠だと言えそうです。ここを目指すなら、PMO経験に加えて業界の業務知識か、戦略側の実績が要ります。
PMOとPM・コンサルで単価はどう違うのか
中央値で並べると、エンジニア95万円、PL110万円、PMO125万円、PM130万円、ITコンサル135万円、コンサル150万円、SAP170万円です。PMOとPMの差は5万円で、肩書きより担う責任の範囲で単価が決まっています。
| 職種タグ | 件数 | 中央値 | 150万円以上の割合 |
|---|---|---|---|
| エンジニア | 206件 | 95万円 | 7.8% |
| PL | 74件 | 110万円 | 8.1% |
| PMO | 335件 | 125万円 | 26.6% |
| PM | 203件 | 130万円 | 31.5% |
| ITコンサル | 135件 | 135万円 | 39.2% |
| コンサル | 375件 | 150万円 | 50.7% |
| 戦略 | 54件 | 150万円 | 61.1% |
| SAP | 52件 | 170万円 | 67.3% |
1案件に複数のタグが付く場合は、それぞれの職種に数えています。差がはっきり出るのは中央値より150万円以上の割合です。PMOは26.6%、PMは31.5%、ITコンサルは39.2%、コンサルは50.7%で、同じ100万円台の中心帯にいても、上に抜ける確率が職種で倍近く違います。それでもPMO案件の4件に1件は150万円を超えていて、届かない職種ではありません。
職種ごとの分布と、PMOとコンサルでなぜ25万円の差が出るのかは、PMO・PM・ITコンサルの単価差で分布ごと見比べられます。
リモートや週2〜3日の案件は単価が下がるのか
下がりません。掲載案件の80.3%がリモート可で、常駐は15.0%です。稼働率50〜79%、つまり週2〜3日相当の案件は112件あり、単価データのある102件の中央値は140万円で、フルタイムの120万円を下回っていません。月々の受取額は稼働率に応じて変わりますが、稼働を絞ると単価の水準を削られるという通説は、掲載案件の分布には表れていません。
出社の有無と単価の関係も一方向ではありません。最多のリモート併用が中央値120万円、基本リモートが130万円、常駐が120万円、フルリモートが110万円です。フルリモートだけは10万円低く出ていますが、案件自体が7.8%と少なく、この差を働き方の値段と読むには数が足りません。単価を左右しているのは出社の有無ではなく、仕事の中身です。フルリモート案件の実態は業務委託リモート案件の実態と単価で、会社員のまま稼働率を抑えて参画するときの前提は会社員のまま業務委託で扱っています。
派遣とフリーランスで単価はどう違うのか
公的統計にPMOという区分はありません。もっとも近い情報処理・通信技術者の派遣料金は、8時間換算で1日34,382円です。月20日稼働に直すと約69万円で、これは派遣先の企業が派遣会社に支払う金額です。派遣で働く本人の賃金は同じ換算で1日21,032円、月に約42万円になります。offeeerのPMO案件の中央値125万円と比べると、企業が払う金額で約1.8倍、本人が受け取る金額で約3倍の開きがあります。
出所は厚生労働省の労働者派遣事業報告書で、令和6年度報告の集計結果です。全業務の平均では派遣料金が26,257円、賃金が16,735円でした。なお、この派遣料金は消費税を含む額として集計されています。offeeerの単価は税抜なので、同じ土俵で比べると差はもう少し開きます。
ただ、この差をそのままフリーランスのほうが得だと読むのは正しくありません。数字の意味が違うからです。
| 観点 | 派遣 | 業務委託のフリーランス |
|---|---|---|
| 根拠になる法律 | 労働者派遣法 | フリーランス法(2024年11月施行) |
| 雇用主 | 派遣会社 | いない。自分が事業者 |
| 料金に含まれるもの | 派遣会社が雇用主として負担する社会保険料や経費、派遣会社の利益 | 含まれない。社会保険料と休業時の収入は自分で持つ |
| 報酬の決まり方 | 時給や日給。指揮命令は派遣先 | 月額の税抜報酬。成果と稼働に対する対価 |
| 案件の選び方 | 派遣会社の差配 | 自分で選ぶ |
派遣料金の69万円は派遣先が派遣会社に払う額で、そこから派遣会社が雇用主として負担する社会保険料や経費を差し引いた残りが賃金になります。業務委託の125万円は、それらを自分で賄う前提の金額です。それでも本人の手元に残る額で比べると差は大きく、その差額は成果に責任を持つことへの対価と考えるのが自然でしょう。
なお、SESは労働者派遣ではなく準委任契約の一形態で、所属会社を経由して報酬が支払われる点が個人の業務委託と違います。
150万円超の案件に届くには何が必要か
150万円以上の案件は467件で、全体の29.7%です。3割は少数派ではありません。タグの内訳はコンサル190件、PMO89件、PM64件、ITコンサル53件、SAP35件、戦略33件で、PMOの肩書きのまま150万円に届いている案件が89件あります。
面談の回数にも傾向があります。掲載案件1,705件のうち面談2回の案件が61.8%、1回で決まる案件は10.0%、1〜2回が9.6%、3回以上は2.6%でした。2回が標準で、1回目で実務の再現性を、2回目で責任者との相性を確かめる進め方が中心と見てよさそうです。150万円超の案件も、この標準から外れません。
面談で問われるのは、どの単価帯でもプロジェクト管理の実務経験です。WBSの設計、課題とリスクの管理、進捗報告と意思決定の支援を、どの規模のプロジェクトで担ってきたか。その上に何が乗っているかで、100万円台前半で止まるか150万円に届くかが分かれます。
乗せるものの一方は業界の業務知識です。金融なら勘定系やリスク管理、製造なら生産管理や品質の文脈がわからないと、会議の進行すらおぼつきません。もう一方がステークホルダー対応で、経営層、事業部、現場、ベンダーを同じ方向に向かせる力です。こちらは資格では証明できず、失敗しながら積む経験値の世界だと感じます。
面談で自分を語るときは、経験の年数ではなく、担ったプロジェクトの規模と役割、業界、どの工程まで自分の手でカバーできるかの3つで整理しておくと、単価の根拠を相手が理解しやすくなります。面談の具体的な準備はフリーランスPMOの案件面談対策にまとめています。
単価交渉はいつ・どう切り出すか
最も通りやすいのは契約更新のときです。現場の評価が固まっていて、クライアント側も継続を望んでいる状態です。ここで実測の分布を持って話せば、根拠のある交渉になります。
2024年11月に施行されたフリーランス法では、発注側は報酬の額と支払期日を書面か電子的な方法で明示する義務を負います。従業員を使う発注者であれば、支払期日は成果物や役務を受け取った日から60日以内で定めなければなりません。単価は口約束ではなく、条件として文書に残る前提で交渉できます。据え置きが何年続いたら問題になるのか、どう切り出すかの手順はPMOの単価交渉で整理しています。
PMOフリーランスの単価でよくある質問
経験3年未満でも100万円は狙えるか
狙えます。PMO案件で100万円未満は13.1%しかなく、案件側の下限が上がっているためです。ただし面談2回で実務の再現性を問われるので、SIerやコンサルファームでPMO業務を担った職歴か、特定業界の業務知識のどちらかが要ります。どちらもない場合は、100万円台前半の案件で1本実績を作ってから上げる順番が現実的でしょう。
単価はいつ見直されるのか
契約の区切りです。終了時期の記載がある案件では、3月末を筆頭に月末や期末を区切りにするものが多く、更新のたびに条件を見直す機会があります。据え置きが続いているなら、更新の1〜2か月前に実績と相場を揃えて切り出してください。
単価が高い案件は常駐なのか
いいえ。200万円以上66件のうち常駐は15件で、基本リモートが28件と最多でした。150万円以上467件でも常駐は70件です。単価と出社の有無に相関は見られません。
月額125万円は年収に直すといくらか
12か月稼働すれば売上で1,500万円です。ただし会社員の年収と同じ物差しでは比べられません。社会保険料は全額を自分で払い、経費も自分持ちで、契約の切れ目には収入のない月が入ります。年収ではなく売上として扱い、そこから引かれるものを差し引いた額で会社員時代と比べるのが実態に近い見方です。
まとめ
PMOフリーランスの単価相場は、PMO案件335件の中央値で125万円、6割が100〜149万円帯にあります。 90万円未満の案件は2024年の22.4%から2026年は9.3%に減り、下位25%の境目は90万円から110万円に上がりました。 150万円以上は3割で、届くかどうかは業界知識とステークホルダー対応で決まります。
次の面談は、自分の単価が分布のどこにあるかを知ってから臨むほうが話が早いはずです。offeeerでは100〜150万円帯を中心に、PMO・コンサル人材向けの案件を継続して紹介しています。いまの単価を測り直すなら、掲載中の案件と並べてみてください。
出典・参考文献
- 労働者派遣事業報告書の集計結果(令和6年度報告) | 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001684019.pdf
- 労働者派遣事業の事業報告の集計結果について | 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079194.html
- フリーランス法特設サイト | 公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/
- フリーランス法に関するQ&A | 公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited/fllaw_qa.html
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 | e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025
- offeeer掲載案件データ(1,705件・単価データあり1,573件・2026年9月7日時点の集計値)。個別案件が特定できる情報は含みません



