PMの案件票を何枚か見比べると、同じPMという肩書きの下に、月110万円の案件と月170万円の案件が並んでいます。進行管理の補佐に近いものもあれば、基幹システムの入れ替えを率いるものもあって、肩書きは同じでも中身と値段はかなり違います。

offeeerに掲載されたフリーランス向けのPM案件234件(2026年9月時点)について、単価、働き方、稼働率、併記された職種タグを数えました。中央値は月130万円です。値段の差を生んでいたのは、リモートか出社かではなく、案件の中で何を預かるかでした。

フリーランスPMの単価相場はいくらか

中央値は月130万円です。単価が記載された207件のうち、100万円以上が189件で91.3%、150万円以上が66件で31.9%、200万円以上は8件で3.9%でした。下位25%の境目が115万円、上位25%の境目が150万円なので、真ん中の半分の案件は115万円から150万円のあいだに入ります。

単価は案件票に書かれた月額・税抜の金額です。稼働率を絞った案件では、その額がフル稼働に換算した値なのか実際の受取額なのかを案件票から読み分けられないものがあるため、ここでの数字は単価の水準として見てください。

価格帯(月額・税抜)件数割合
50〜79万円31.4%
80〜99万円157.2%
100〜149万円12359.4%
150〜199万円5828.0%
200万円以上83.9%

6割が100万円台前半に集まり、3割強が150万円以上に乗っています。100万円を下回るPM案件は18件、8.7%でした。

他の職種と並べると、PMの位置がはっきりします。同じ時点のoffeeer掲載案件で、職種タグごとの中央値と価格帯の割合を比べたのが次の表です。1件に複数のタグが付いた案件は、それぞれのタグで数えています。

職種タグ単価記載件数中央値100万円以上150万円以上
コンサル396150万円97.0%51.0%
ITコンサル140137.5万円96.4%40.0%
PM207130万円91.3%31.9%
PMO344125万円86.9%26.5%
PL76110万円76.3%7.9%
掲載案件全体1,623125万円79.5%29.9%

PMの中央値はPMOより5万円高く、ITコンサルより7.5万円低いところにあります。PMOとの差が5万円しかない一方で、PLとのあいだには20万円の開きがあります。真ん中の半分の案件が入る幅で比べると、PLは100万円から130万円、PMOは110万円から150万円、ITコンサルは120万円から160万円、コンサルは130万円から170万円で、PMの115万円から150万円はPMOとITコンサルのあいだに収まります。PMO側の分布はPMOフリーランスの単価相場で、3職種の比較はPMO・PM・ITコンサルの単価差で扱っています。

職種タグ別の単価の幅(中央値と上下25%の境目)

PLとPMで単価はどれだけ違うか

中央値で20万円違います。PLタグの案件は中央値110万円、PMタグは130万円です。差は真ん中だけでなく、分布の両端にも出ています。PLは100万円未満が18件で23.7%を占め、150万円以上は6件の7.9%、200万円以上は1件もありません。PMになると100万円未満は8.7%まで下がり、150万円以上が31.9%まで増えます。

PLPM
単価記載件数76207
中央値110万円130万円
100万円未満23.7%8.7%
150万円以上7.9%31.9%
200万円以上0件8件

この段差は、責任を持つ範囲の違いから来ているように見えます。IPA(情報処理推進機構)のITスキル標準は、プロジェクトマネジメントの職種を、プロジェクトの提案、立上げ、計画、実行、監視コントロール、終結を実施し、「計画された納入物、サービスと、その要求品質、コスト、納期に責任を持つ」職種と説明しています。担当チームの進み具合をまとめるPLに対して、PMは品質とコストと納期の結果そのものに責任を負います。その違いが、中央値で20万円の差になって表れていると考えられます。

PLとPMの両方のタグが付いた案件は27件あり、単価が記載された21件の中央値は130万円でした。ただし150万円以上は3件、14.3%にとどまります。PMの肩書きが付いていても、中身が担当チームをまとめる役割に近いと、上の帯には届きにくいようです。

PLからPM案件に移るときに語れるようにしておきたいのは、自分のチームの外と交渉し、予算や納期の判断を引き受けた場面です。PM案件の面談は2回が169件で72.2%を占め、1回で決まる案件は20件の8.5%でした。2回の面談のどこかで、その場面を具体的に話すことになります。聞かれやすい質問と準備はフリーランスPMOの案件面談対策にまとめています。

PMの単価は何で上がるのか

案件の中で預かる範囲が広いほど、150万円以上の帯に入る割合が高くなります。同じPMタグでも、PMOのタグが併記されているかどうかで上の帯の厚みが変わり、コンサルのタグが併記されると中央値が一段上がります。

PM案件の併記タグ単価記載件数中央値上位25%の境目150万円以上
PLも併記21130万円140万円14.3%
PMOも併記95130万円147.5万円25.3%
PMOの併記なし112130万円160万円37.5%
コンサルも併記54140万円160万円38.9%

※複数のタグが併記された案件は、当てはまる行それぞれで数えています

中央値はほとんどが130万円で並んでいますが、150万円以上の割合はPL併記の14.3%からコンサル併記の38.9%まで、順に上がります。PMOが併記された案件は、PMの肩書きでも進行管理や会議体の運営といった推進支援の比重が大きく、PMOの併記がない案件ほど、判断と説明の責任をPM本人が引き受ける比重が大きいと読めます。コンサルが併記された54件で100万円を下回ったのは1件だけでした。

併記タグ別の150万円以上の割合(PL併記からコンサル併記まで)

案件の種類でも差が出ます。案件名に「移行」「刷新」「リプレイス」「基幹」など、既存システムの入れ替えや基幹系を示す語が入ったPM案件は単価記載28件で、中央値は140万円、150万円以上が12件の42.9%でした。それ以外の179件は中央値130万円、150万円以上30.2%です。動いているシステムを止めずに新しい仕組みへ移す案件は、関わる部署とベンダーが多く、切り替えの判断を誤ったときの影響も大きくなります。単価をそのリスクを預かることへの値段と見ると、この並びに筋が通ります。

ITスキル標準も、PMのレベルを担ったプロジェクトの大きさで測っています。専門分野「システム開発」の達成度指標では、成功裡に実施したプロジェクトの規模の目安として、管理する要員数がピーク時10人未満または年間契約金額1億円未満をレベル4、10人以上50人未満または1億円以上5億円未満をレベル5、50人以上または5億円以上をレベル6、500人以上または10億円以上をレベル7に置いています。規模が一段小さくても、複雑性の条件を一定数満たせば同じレベルと認める基準も併記されています。人数と金額に加えて複雑さで責任の重さを測るこの考え方は、入れ替え系の案件に高い値段が付く理由とそのまま重なります。契約更新のタイミングで単価を上げる進め方はPMOの単価交渉の手順が使えます。

PM案件はリモートで働けるか

234件のうち182件、77.8%がリモート可の案件です。内訳はリモート併用が116件、基本リモートが51件、フルリモートが15件で、常駐は45件でした。

働き方件数割合単価中央値
リモート併用11649.6%130万円
基本リモート5121.8%130万円
常駐4519.2%135万円
フルリモート156.4%130万円
相談可62.6%120万円

※働き方が確認中の1件を除く

単価の中央値は、フルリモートでも常駐でもほとんど変わりません。リモート併用、基本リモート、フルリモートがいずれも130万円、常駐が135万円で、差は5万円です。同じ時点のITコンサル案件は、リモート併用と基本リモートこそPMと同じ130万円でしたが、常駐が150万円、フルリモートが110万円と40万円開いていました。それと比べると、PMはほぼ横一線です。

働き方別の単価中央値(PMとITコンサルの比較)

PMの値段は、どこで働くかより、何を預かるかに付いています。出社を条件にしても単価はほとんど上がらず、フルリモートを選んでも下がりません。ただしフルリモートは15件しかないため、出社ゼロを最優先にすると選べる案件の数が大きく減ります。リモート比率の全体像はフルリモート案件は7.9%で数字を追っています。

2025年から2026年で単価はどう動いたか

中央値は2025年も2026年(1〜9月掲載分)も130万円で、動いていません。変わったのは分布の下の端で、100万円未満の割合が9.5%から5.4%へ下がりました。

掲載年単価記載件数中央値100万円未満150万円以上
2025年105130万円9.5%33.3%
2026年(1〜9月)93130万円5.4%31.2%

150万円以上の割合はほぼ横ばいなので、上に伸びたというより、下が削れた形です。掲載案件全体でも、100万円未満の割合は2024年の31.1%から2025年の19.8%、2026年の15.1%へと下がり続けています。PM案件はその中でも床が高く、2026年に100万円を下回った案件は93件中5件でした。

100万円未満の割合の推移(PMと掲載案件全体)

2024年のPM案件は単価記載が9件しかないため、年別の比較からは外しています。

会社員のままPM案件に参画できるか

選べる案件はかなり限られます。稼働率が記載された229件のうち、稼働率100%が205件で89.5%を占めました。50〜79%は18件、80〜99%は4件、50%未満は2件でした。

稼働率件数割合単価中央値
100%20589.5%130万円
80〜99%41.7%135万円
50〜79%187.9%130万円
50%未満20.9%-

所属先を持ちながら候補になるのは、週3日前後にあたる50〜79%の18件です。ただ週3日の稼働を本業と並べるには、本業側の勤務日数を減らせることが前提になります。稼働率が書かれた案件のうち、50%未満の2件を除けば、どれも週の半分以上を充てる前提で組まれています。書かれている単価の中央値はフル稼働の案件と同じ130万円ですが、この額が稼働率に応じて按分されるかどうかは案件票だけでは読み取れないことがあるため、面談の前に確かめておきたいところです。

PMは、トラブルが起きたときに判断を求められる役割です。週3日で参画するなら、稼働日以外に起きた障害や判断待ちを誰がどう受け止めるかを、自分から設計として示せると面談での話が具体的になります。稼働を減らしても、預かる範囲は減りません。

会社員のまま業務委託で参画するときの労働時間の扱いは会社員のまま業務委託|労働時間は通算されない3つの前提で、土日や週末に絞った案件の実態はコンサルタントの土日案件は0件で詳しく見ています。

PM案件の契約で確認しておくことは何か

最初に確かめたいのは、報酬が何に対して払われるかです。業務委託の契約は、仕事の完成に対して報酬を払う請負と、事務の処理を任せる準委任に分かれ、準委任の報酬にはさらに2つの型があります。民法は、委任が履行の中途で終わったときなどに、受任者は「既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる」と定めています(第648条第3項)。一方で、委任事務の履行によって得られる成果に対して報酬を払うと約束し、その成果に引き渡しが必要な場合は、引き渡しと同時に報酬を払うことになります(第648条の2)。準委任にはこの委任の規定が準用されます(第656条)。働いた分に応じて払う型と、成果の引き渡しで払う型の2つです。

PMの役割は、プロジェクトを計画に沿って進めるための管理と判断にあり、システムの完成を一人で約束する立場とは性質が違います。報酬条項が、稼働した期間に対して払う形なのか、成果物の引き渡しに対して払う形なのかで、プロジェクトが途中で止まったときに受け取れる報酬が変わります。違いは準委任契約と請負契約の違いで詳しく整理しています。

もう一つは、取引条件を記録に残すことです。2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注側には給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面か電磁的方法で明示する義務があります。従業員を使っている発注事業者(法律上の特定業務委託事業者)には、支払期日と契約の終わり方についての義務も加わります。報酬の支払期日は原則として給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間で定めることになっており、6か月以上の業務委託を途中で解除したり更新しなかったりする場合は、原則として30日前までに予告する必要があります。契約書で見ておく箇所はフリーランスが契約で絶対に確認すべき5つのポイントで順に解説しています。

まとめ

フリーランスPMの単価は、offeeer掲載234件(単価記載207件)の実測で中央値130万円、91.3%が月100万円以上、150万円以上が31.9%でした。PLとの差は中央値で20万円あり、同じPMの中では、PMOの併記がない案件、コンサルが併記された案件、システムの入れ替えを率いる案件ほど上の帯に入ります。リモートか常駐かによる差はほとんどありません。

単価を決めているのは、肩書きや働く場所よりも、預かっている範囲の広さです。いま関わっているプロジェクトで、予算、ベンダー、切り替えの判断のうちどこまでを自分が引き受けているかを書き出すと、次に応募する案件の帯が見えてきます。offeeerには2026年に入ってからも100件のPM案件が掲載されてきました。案件一覧で単価や働き方の条件を絞って案件票を並べれば、自分の経歴がどの帯に届くかを確かめられますし、登録すればそのまま案件にエントリーできます。次の契約で、どこまでを預かりますか。

出典・参考文献